博学多才な人でも鬱病に対する知識がなければ、誤った対応をしてしまいがちです。多いところでは、鬱病を単なる心の持ちようと捉え、気力次第で治せるものだと考える傾向も見られます。ところが、鬱病は脳における神経伝達物質の機能ダウンに関わる病気ですから、気力でどうにかなる類のものではありません。改善には精神科や心療内科などで、専門医の治療を受ける必要があり、これは大切な基礎知識になっています。鬱病の特徴的な症状には気分の落ち込みもありますが、これ自体は健常者の方でもことあるごとに見舞われる精神現象です。健常者であれば一時的に酷く落ち込む場合でも、時が経過すれば、やがて心に元気が舞い戻ってきます。しかし鬱病では肝心の脳が活力低下に陥っていますから、日薬というものはあまり期待できず、一向に回復する兆しが見えないのが一般的です。概ね半月以上その状態が継続する際は鬱病が疑われるため、鬱病を判断する基本知識として押さえておくと良いでしょう。また通常と違い、悲しみや落ち込む原因がなくても涙ぐんだり、気分が著しく落胆したりすることも特徴ですので、それらに合致する時は、精神科か心療内科で診てもらってください。治療が早ければそれだけ治りも良くなることは重要な豆知識ですから、覚えておいて損はありません。一方、落ち込んでいる人を見ればガンバレと声を掛けたくなるのも人情です。とはいえメランコリー型の鬱病は、元来真面目で律儀な人が、ガンバった末に発症する病気ですから、その文言は禁句になります。激励は鬱状態の人を更に追い込む言葉ですので、周囲の人はそのセリフを口にしないようにすることも豆知識です。同様に散歩や旅行など、気分転換として無理矢理外へ引っ張り出そうとする行為も、かえって苦痛を強いることになるため止めておきましょう。良かれと考えて実行したことが、全て裏目に出る可能性もありますから、周りの方は温かく見守るのが大切です。そして、ご家族の方がこの病気を患っている場合は、一緒に精神科や心療内科へ付き添うのが理想になります。診察室へ共に入ることで、担当医に色々な事柄を話せるうえ、医師の話も直接聞けますので、鬱病に対する見識が深まるメリットがあるのです。精神科や心療内科では、以前から服薬治療や心理療法などが行われてきましたが、近年では運動療法や食事療法も積極的に取り入れている病院も増えています。特に食事面では加工食品や精製食品の摂取が、鬱病と関わっていると示唆されています。そこで、主食類では精製された白米より、玄米や雑穀米などの方が良く、パンならライ麦パンなどの方が望ましくなっているのです。